麦秋至
いつだって
ひらめいた時は思いがけず
いつだって
思いついたものは傑作だ
春だから種まきという事でもあるまい
いつだって蒔こうと思えば蒔けるのだ
撒いてしまうことも
あるのだが
それはそれで
致し方ないことであって
だからって責める必要なんぞ
ないのだ
ないのだ
秋の頃
どんな空を見ていたのか?
冬はどんな風に吹かれて
春はどんな夢を見ていた?
流れ行く時の中で
形作られた
何かが
今その手の中にあるのであろう
今日は宴
そなたがそなたを知った日であろう
どんなことをしてきたのか
機は熟した
気の乗らぬ夜もあろう
目覚めたくない朝だってあろう
だが
わしはここから見ておるのだ
そなたの熟した機を
今こそできることを
今だからやりたいことはないのか?
今しかできないことも
せいぜいやれ
せいいっぱいやれ
走れとは言わんが
ぬるい風を己の速度で
心地よいものに変えることだって
出来うるのだ
焦る姿もまたいい
刻まれていくその命が
その命がそのものが
ただただ
美しいのだ
って、えらい和風な
大天使メタトロンが言うもんだからさ
pic/ 豊川稲荷東京分社